2012年

5月

15日

五月の薔薇

-Rose Garden- Liquitex
-Rose Garden- Liquitex

-Rose Garden - 1999 個人蔵

 

薔薇がいっせいに咲き始めました。

今から13年前の5月、とあるカフェギャラリーで ピアノ弾き語りのライブコンサートをされると言う音楽学部の先輩からお話をいただき、同時期にこのメインの80号ほどの絵と 同じタッチの花の小作品9点とを展示させていただいた事があります。
この絵は、最初から、そのギャラリーの女性オーナーが買い上げを約束してくださっていた言う、私の絵の中でも特に幸運な運命を持って生まれました。

画面は、合板に目の細かい麻布を貼りこんだあとに下地のホワイトをかけ、リキテックスで描いています。

あらかたの淡い彩色を先にほどこし、あとから輪郭線を入れているのですが、
そこには、よどまない“線”で魅せることを この絵の目標のひとつに掲げて描き上げようとした 当時の私自身の目線がうかがえます。

まるでゴルファーがナーバスな柴目を読みながら 何度も何度もアプローチをイメージしてパターを空で振るように、画面の上で何度も頭にあるラインを指でトレースし、ようやく筆を持ち、絵の具の含み具合を吟味して 思い通りの線を引けた時と言うのは、とても気持がよいものです。
今になって改めてこの絵を見ると、そんな苦悩のない伸びやかな集中が形になって各所に刻まれているのが見て取れます。
多分ごらんになる皆さんにも、この絵から屈託のない優しさと、スッキリとした心地良さを感じていただけるのではないかと思います。

画面のサイズを決めた時、"Rose Garden"と言うテーマと共に、薔薇の庭に降りたニンフが開花の時を告げるシーンがすぐに浮かびました。
そう言う意味でも、苦悩の残像がない絵に仕上がったのでしょうか。。。